2022.06.26
08 タンパク質は「食べる投資」である
タンパク質は「食べる投資」である
ここまで「食べる筋トレ」の大切さやメリットを中心にお伝えしてきたが、唯一デメリットがあるというならば。
「タンパク質中心の食事は、食費がかさむ」くらいでしょうか。
実は、タンパク質は「カロリー単価」が高い。
ドンブリ物や麺類などの、炭水化物と比べると、肉や魚などのタンパク質で同じカロリーを摂取するには1.5倍から2倍のお金がかかります。
たとえば、ファストフードや牛丼チェーンでランチをすませるなら500円以下でOKだが、コンビニでサラダチキンを買って、牛乳を買って、茹で卵を買って......、というように単品でいろいろ買っていくと、あっという間に1,000円はオーバーしてしまいます。
ただ私は、この出費は「投資」と考えてほしいと思っています。
ビジネスに携わる人にはご理解いただけると思うのですが、何かを獲得するためには、投資が必要です。
この「コスト」と「投資」の違いを正しく認識することが、体づくりを成功させる上で最も重要なマインドセットです。
▼「コスト」と「負債」:「カロリー単価」の罠
炭水化物中心の食事(ドンブリもの、ラーメン)が安価なのは、それが「未加工の燃料(原料)」に近いからです。一方、タンパク質(肉、魚、卵)は、あなたの体という「完成品」の材料であり、それ自体が高い栄養価を持つ「部品」です。部品が原料より高価なのは当然です。
短期的な視点で見れば、タンパク質は「コスト」です。しかし、長期的な視点で見れば、安価な炭水化物中心の食事は将来の「負債」になり得ます。
1. 将来の医療費という「負債」
安価な食事(高糖質・低タンパク)を続けると、どうなるでしょうか。
まず、筋肉量が維持できず、基礎代謝が低下します(ID 4, 5参照)。筋肉という「糖の受け皿」が小さくなるため、食後の血糖値が急上昇しやすくなり、それを処理するためにインスリンが大量に分泌されます。この状態が続くと、やがてインスリンが効きにくい体(インスリン抵抗性)になり、2型糖尿病のリスクが劇的に高まります。
また、筋肉の減少(サルコペニア)は、将来の転倒リスク、寝たきりリスクに直結します。
目先の数百円を節約するために、将来、数百万円の医療費や介護費という「負債」を抱え込む。これが「カロリー単価」だけを見る短期的な視点の末路です。
2. 生産性の低下という「機会損失」
高糖質食は、血糖値の乱高下(血糖値スパイク)を引き起こします。昼食後に強烈な眠気(ブレインフォグ)に襲われるのはこのためです。また、タンパク質不足は、ドーパミンやセロトニンといった脳内神経伝達物質(ID 6参照)の不足に直結し、集中力、意欲、精神の安定性を著しく低下させます。
「安いランチで済ませた」結果、午後の4時間を低パフォーマンスで過ごすことは、その4時間分の「稼ぐチャンス(機会)」を失っていることと同義です。これは目に見えない、しかし深刻なコストです。
▼タンパク質は「自己資本」であり「設備投資」である
もし株で利益を出そうとするときには、最初にまとまった資金が必要になり、
優秀な人材を育てるのにも教育投資が必要となります。
それらをすっ飛ばして即戦力の経験者を獲得するなら、採用費や高い年俸を用意しなければなりません。
商品の生産量を増やし、売上を上げたいなら設備投資が必要になります。
これを体に置き換えましょう。
- タンパク質(食事) = 企業の「自己資本」であり、従業員(筋肉や脳)に支払う「適正な給与」です。
- 筋トレ(運動) = 従業員への「教育(研修)」であり、生産性を高めるための「設備投資」です。
「低タンパク・高糖質」な食事で筋トレを頑張ることは、従業員にろくに給与も払わず(タンパク質不足)、ボロボロの設備(栄養不足の体)のまま、ただ「頑張れ」と研修(筋トレ)だけを受けさせているようなものです。従業員は疲弊し、次々と辞めていき(筋肉の分解、免疫力の低下)、会社(体)は倒産(病気)に向かいます。
これと同じように、体を変革して人生を変えるには、それなりの投資額(=適正な食費)が必要なのです。
▼タンパク質は確実にリターンを得られる投資です!
もちろん、「投資」というからには、それなりのリターンがあります。
タンパク質への投資(=高タンパク食)は、以下の3つの確実なリターン(投資対効果)をもたらします。
リターン①:代謝的資産(永久配当)
タンパク質を材料に筋トレを行うと、筋肉という「代謝的資産」が構築されます。この資産(筋肉)は、あなたが寝ている間もエネルギーを消費し続けます(基礎代謝の向上)。これは、一度構築すれば、生涯にわたってカロリー消費という「配当(インカムゲイン)」を生み出し続ける、究極の資産です。
リターン②:パフォーマンス資産(生涯所得の向上)
前述の通り、タンパク質は脳機能(集中力、思考力)と精神の安定に不可欠です。これにより、日中の業務パフォーマンスが向上します。その結果、評価が上がり、報酬(生涯所得)が上がる可能性も十分にあります。
また、見た目が変わることで、「この人は自分を律することができる」というまわりの人からの「信頼」を獲得できたり、異性から人気が出たりと、人間関係にも好影響が期待できます。これらは全て、あなたのキャリアと人生における「キャピタルゲイン(資産価値の上昇)」です。
リターン③:リスクヘッジ(負債の回避)
これは「攻め」のリターンとは逆の、「守り」の巨大なリターンです。タンパク質を十分に摂取し、筋肉量を維持することは、将来の「医療費」「介護費」という巨大な負債を回避するための、最も確実な「保険」となります。また、免疫機能(抗体)の材料となるため、日々の風邪や感染症によるダウンタイム(=所得の損失)を防ぐ「リスクヘッジ」としても機能します。
こう考えると、投資額(日々の数百円の差額)に見合う、いや、それとは比較にならないほどの莫大なリターンが期待できるのです。
しかも、「食べる筋トレ」のいいところは、株式投資などと違って、しっかり取り組めば「確実に」リターンを享受できるという点です。
世の中、「絶対に儲かる投資」は存在しません。
そんなのもしあるならばそれは詐欺です。
ただ、正しく食べるものに投資すると、100%見返りを受けることができます。なぜなら、株式市場は「外部要因」に左右されますが、あなたの体は「内部要因(生理学)」に基づいているからです。
Two steps are shown here.
「ストレス(筋トレ) + 材料(タンパク質) = 適応(成長・回復)」
これは、何百億年もかけて最適化されてきた、人体の基本的な法則です。この法則に従う投資が失敗することはありません。こんな素晴らしい投資は、他には存在しないのではないでしょうか。
★POINT 「食べる筋トレ」は100%リターンを得られる夢の投資だ。(であり、最も確実なリスクヘッジである)
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