2022.06.26

09 無意識の食事はお金と時間のムダ! 毎日の食事は自分自身で選び取れ

無意識の食事はお金と時間のムダ!毎日の食事は自分自身で選び取れ

人生も仕事も「選択」の連続です。

相手を説得する際、どんな言葉を選びますか?
終業前の疲れている時間帯に、もうひとがんばりするか?
休日をダラダラ過ごすか、自己投資に充てるか……。

こういった1つひとつの選択が自分の未来を大きく変えます。


食事についてもこれと同じことが言えます。むしろ、食事は、その「選択」が1日に3回、1週間に21回(ID 6参照)も訪れる、最も頻繁かつ重要な自己投資(ID 8参照)の機会です。

その重要な選択を、「なんとなく」「安いから」という理由で無意識に流してしまうこと。それこそが、元記事の言う「お金と時間のムダ」の正体です。

 

▼「5万円のPC」と「500円の食事」:どちらを真剣に選びますか?

あなたは、普段コンビニやスーパーで食品を購入する際、何に気をつけていますか。
多くの人が値段くらいは確認すると思いますが、それ以外に気をつけてほしいことがあります。


それは、パッケージの裏側です。

パッケージの裏には必ず「栄養成分表示」というものが印刷されており、エネルギー(カロリー)、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩などの含有量がわかるようになっています。

これは食品表示法という法律で表示が義務づけられているものです。


パソコンや家電などを買う際、多くの人が競合製品のスペックを調べたり、口コミを確認したりすると思います。
価格と機能を天秤にかけ、自分に最も合った製品を慎重に選びます。
必ずしも値段だけを見て購入するわけではないと思います。


一方、日々購入する食品はどうでしょうか。
多くの人が、できるだけ値段の安いものをカゴに放り込んでいるように思います。

これは、スペックや機能を確認せずに、パソコンを買うのと同じことだと思います。
値段だけを見て買ってはみたものの、必要なソフトが入っていない、容量が全然足りない……。
これでは、お金をドブに捨てるようなものだと思います。

5万円のPCは5年間使うかもしれませんが、500円の食事は5時間後、10年後、30年後のあなたの「体」そのものになります。その重要性は、PCや家電とは比較になりません。

特に食品は、あなた自身の体内に入れるものです。
私たちの体は食べたものでできています。
そんな大事なものを値段だけを基準に選んではいけないと思います。

 

▼食品はひっくり返して裏を見る:「栄養成分表示」の読み解き方

だから、食品を買うときは、商品パッケージをひっくり返して裏を読む習慣をつけるようにしましょう。

各食品のスペックを確認するためです。最低限、以下の4項目(PFCバランス)をチェックします。

1. タンパク質 (P: Protein)

最重要項目です。これが「体の材料」です(ID 6, 7参照)。
あなたの目的(ダイエット・バルクアップ)に関わらず、ここは最優先で確保すべき数値です。1食あたり最低15g、できれば20g~30gは欲しいところです。この数値が極端に低い(例:5g未満)食品は、「食事」ではなく「おやつ」または「エネルギー補給」と割り切るべきです。

2. 脂質 (F: Fat)

カロリーの「罠」です。脂質は1gあたり9kcalと、タンパク質・炭水化物(各4kcal)の2倍以上のカロリーを持ちます。
「高タンパク」を謳っていても、同時に脂質が20gも30gも入っていれば、それは「高タンパ・高脂質・超高カロリー食」です。ダイエット中は、この数値が低いもの(例:10g~15g以下)を選ぶのが賢明です。逆にバルクアップ中でカロリーが必要な場合は、適度な脂質は有効なエネルギー源となります。

3. 炭水化物 (C: Carbohydrate)

最も「質」が問われる項目です。これは「エネルギー源」ですが、注意が必要です。栄養成分表示では、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の合計値として記載されます(または、それぞれが併記されます)。

  • 糖質 (Sugar/Starch): 主要なエネルギー源。多すぎれば体脂肪として蓄積されます。特に「糖類(砂糖など)」の内訳に注意が必要です。
  • 食物繊維 (Fiber): 血糖値の上昇を緩やかにし、腸内環境を整え、満腹感を与えます。ダイエット中は、この数値が高いほど「良質な炭水化物」と言えます。

元記事の例「糖質が20グラムなのに脂質が50グラムじゃん! やめとこ」は、まさにPFCバランスが崩れた(=脂質が異常に多い)食品を見抜いた、素晴らしい「選択」です。

 

▼プロが見る第二のラベル:「原材料名」

「栄養成分表示(PFC)」がPCの「CPU速度、メモリ容量」といった基本スペックだとすれば、これから解説する「原材料名」は、「どのメーカーの部品が使われているか、不要なソフト(ウイルス)が入っていないか」を見る、より専門的な「設計図」です。

「原材料名」には、その食品に使われている全ての材料が、「使用重量の多い順」に記載されています。これは法律で定められた鉄則です。

このルールを知っているだけで、食品の「正体」が見抜けます。

  1. 「タンパク質豊富!」と書いてあるのに、原材料の1番目が「砂糖」
    • → これは「タンパク質入りのお菓子」です。
  2. 「ヘルシー」と書いてあるのに、原材料の2番目が「ぶどう糖果糖液糖」
    • → これは「ジュース」や「タレ」でカサ増しされた不健康な食品です。
  3. 「サラダチキン」なのに、原材料の後ろの方に「砂糖、みりん」
    • → 低糖質に見えても、不要な糖分が添加されています。

特に警戒すべき「原材料名」

体づくりを真剣に行うなら、以下の「スペックの低い部品」を避けるべきです。

1. ぶどう糖果糖液糖(異性化糖)
「果糖」は、ブドウ糖(グルコース)と異なり、主に肝臓で代謝されます。過剰に摂取すると、インスリンの反応を介さずに、直接的に中性脂肪(特に内臓脂肪)として蓄積されやすいという最悪の特徴を持っています。安価なため、清涼飲料水、タレ、ドレッシング、パンなどあらゆる加工食品に使われる「隠れボス」です。

2. ショートニング、マーガリン、植物油脂(の一部)
これらは「トランス脂肪酸」を含む可能性があります。トランス脂肪酸は、体内で炎症を引き起こし、悪玉コレステロール(LDL)を増やし、善玉コレステロール(HDL)を減らすことが知られています。これは代謝を悪化させるだけでなく、心血管疾患のリスクを直接的に高めます。原材料名にこれらがあったら、それは「低品質な脂質」が使われている証拠です。

3. 添加物(「/」以降)
原材料名表示では、食品添加物は「/(スラッシュ)」以降にまとめて記載されることが多いです(例:鶏肉、醤油、... / 調味料(アミノ酸等)、保存料(ソルビン酸))。もちろん全てが悪いわけではありませんが、この「/」以降が異常に長い食品は、それだけ自然の食材からかけ離れた「工業製品」である可能性が高いと判断できます。

 


だから、食品を買うときは、商品パッケージをひっくり返して裏を読む習慣をつけるようにしましょう。
そして、こう判断するのです。

「(栄養成分を見て)タンパク質は20g、脂質は8g。PFCは合格だ。……(原材料名を見て)1番目が鶏肉、2番目が醤油。添加物も少ない。よし、これは『買い』だ」

「(栄養成分を見て)タンパク質15gか。悪くない。……(原材料名を見て)ん? 2番目に『ぶどう糖果糖液糖』、3番目に『植物油脂』がある。これはスペック詐欺だ。やめておこう」

これが「考えて買う癖」です。
自分の未来は自分で選び取るのです。

無意識の選択は、あなたを無意識に「太りやすく、疲れやすい体」へと導きます。意識的な選択(=裏を見る)こそが、あなたを「代謝が高く、パフォーマンスの高い体」へと導く唯一の道です。

もちろん、そのためには食品に対する知識が欠かせません。
本章ではタンパク質を中心に各食材や栄養について解説していきます。

 

★POINT「なんとなく食べる」習慣とは、今日で決別しよう。

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