2022.06.27

13 豚肉はトレーニングや仕事の疲れを癒してくれる。 ただし、食べるなら「ヒレ」一択!

13 豚肉はトレーニングや仕事の疲れを癒してくれる。ただし、食べるなら「ヒレ」一択!

豚肉の魅力は、その値段の安さと栄養の豊富さにあります。特に、筋力トレーニングを行う人にとって、豚肉は非常に優れたタンパク質源となります。牛肉や鶏肉と比較しても、豚肉には独自の栄養特性があり、疲労回復やエネルギー代謝において重要な役割を果たすことが、栄養学的研究から明らかになっています。

先ほど牛肉をほめちぎりましたが、じつは牛肉にも欠点があります。

それはやっぱり「値段が高い」ということ。
経済的に、牛肉を毎日食べるわけにはいかない人がほとんどだと思う。特に、長期的に継続的な栄養管理を行う場合、コストは無視できない重要な要素となります。同じ100グラムあたりのタンパク質含有量を比較すると、牛肉と豚肉では大きな差はありませんが、価格差は大きく、特に長期にわたって継続的に摂取する場合、この価格差は累積的に大きな影響を及ぼします。

そんなとき助かるのが豚肉です。
同じく財布にやさしい鶏肉とうまく組み合わせてタンパク質をとって行けば最高のコンビだと私は思います。この組み合わせにより、様々な栄養素を補完し合いながら、経済的な負担を抑えて、十分なタンパク質を確保することができます。特に、アミノ酸プロファイルの違いを利用することで、より多様な栄養素を摂取することが可能になります。

豚肉の栄養価:ビタミンB群とオレイン酸の効果

ビタミンB群の疲労回復効果


豚肉といえば牛肉と同様、「オレイン酸」という良質な脂質や、ビタミンBが多く含まれています。
このビタミンBが疲労を回復させてくれるのです。ビタミンB群は、8種類の水溶性ビタミンの総称で、それぞれが異なる役割を担っていますが、共通してエネルギー代謝に関与している点が特徴です。特に、ビタミンB1(チアミン)は、糖質をエネルギーに変換する際に不可欠な補酵素として機能し、不足すると疲労感や集中力の低下を引き起こす可能性があります。


もちろんドリンク剤を飲んだときのような強烈な即効性はありませんが、連日の
猛暑で体力が奪われるような夏場でも、豚しゃぶを食べるとなんとなく元気になるのはビタミンBのおかげです。この効果は、ビタミンB群が体内でエネルギー産生を促進し、疲労物質の蓄積を抑制することにより発揮されると考えられています。特に、激しい運動や長時間の労働により、体内のビタミンB群が消費されると、疲労感が増大する傾向がありますが、適切に補給することで、この疲労感を軽減することができる可能性があります。


トレーニーにとって、ビタミンB群は欠かせない栄養素です。

詳しくは後述しますが、ビタミンBには、エネルギー代謝や脂質代謝に働きかける効果があるからです。具体的には、ビタミンB1は糖質の代謝、ビタミンB2は脂質の代謝、ビタミンB6はタンパク質の代謝に関与しています。これらのビタミンが適切に摂取されることで、トレーニングで消費されるエネルギーを効率的に産生し、筋肉の回復を促進することが期待できます。また、ビタミンB12は赤血球の形成や神経機能の維持に必要不可欠であり、特に激しいトレーニングを行う場合には、十分な摂取が推奨されます。

オレイン酸の健康効果

また、豚肉に含まれるオレイン酸は、一価不飽和脂肪酸の一種で、オリーブオイルにも豊富に含まれていることで知られています。オレイン酸は、悪玉コレステロール(LDL)を低下させながら、善玉コレステロール(HDL)を維持する働きがあるとされており、心血管系の健康維持に寄与する可能性があります。さらに、オレイン酸は、脂溶性ビタミンの吸収を促進する働きもあり、総合的な栄養バランスを考えると、適度な摂取は重要です。

部位選びの重要性:ヒレ肉を選ぶ理由

部位による脂質含有量の違い


ただし豚肉は部位によっては脂質が多いというデメリットがあります。
脂肪の多い豚バラは避け、脂肪が少ないヒレ肉を選ぶことをお勧めします。
豚バラ肉は100グラムあたり約20グラム以上の脂質を含む場合があり、これは成人男性の1日の脂質摂取目安量の約3分の1に相当します。一方、豚ヒレ肉は100グラムあたり約2.3グラムの脂質しか含まれておらず、タンパク質含有量は約22グラムと、非常に優れたタンパク質源となります。

調理方法の選択肢

ヒレ肉ならステーキにしてもいいし、生姜焼きにしてもいい。
ヒレ肉を豚しゃぶにすると余計な脂分が抜けるし、調理に油を使わずにすみます。豚しゃぶは、熱湯で短時間加熱するため、余分な脂質が落ち、さらに低脂質な仕上がりになります。また、生姜焼きは、生姜の香りと風味により、淡白なヒレ肉を美味しくいただくことができ、生姜に含まれるジンゲロールには、抗炎症作用や代謝促進作用があるとされています。ステーキは、シンプルな調理方法で、ヒレ肉本来の旨味を楽しむことができ、適度な加熱により、タンパク質の変性を最小限に抑えながら、美味しくいただくことができます。
ロースのとんかつはおいしいですが、脂が多すぎるので「食べる筋トレ」ではおすすめしません。ロース肉は100グラムあたり約10グラム以上の脂質を含む場合があり、特に揚げ物として調理する場合、さらに脂質含有量が増加するため、体組成を管理したい場合には適さない場合があります。

 

加工肉の注意点:便利さとリスクのバランス

加工肉の栄養成分の問題点

さて、ここまで読んで、
「仕事が忙しくて、頻繁に買い物に行けないから、日持ちのしない肉を毎日食べるのはハードルが高い」
「保存の効くソーセージやベーコンではダメなの?」
などと思った読者も多いのではないでしょうか。これは、現代の忙しい生活を送る人々にとって、非常に現実的な課題です。特に、長時間労働や不規則な生活リズムにより、毎日の食材購入が困難な場合、保存性の高い食品は非常に魅力的に映ります。


たしかに、ソーセージ、ベーコン、スパムなどの豚肉を加工した食品は、生肉に比べて消費期限が長いので買い置きしておけばいつでもタンパク質が補給できる便利な存在です。これらの加工肉は、保存性が高く、調理も簡単で、忙しい人にとって非常に便利な選択肢となります。特に、ソーセージやベーコンは、調理時間が短く、様々な料理に組み合わせやすいという利点があります。


しかし、こういった加工肉には決定的な弱点があります。
それは、どれも非常に脂肪分が多いこと。
例えば、ベーコン100グラムには約40グラム以上の脂質が含まれており、これは成人男性の1日の脂質摂取目安量の約6割以上に相当します。ソーセージも同様に、脂質含有量が高く、特に調理方法によっては、さらに脂質含有量が増加する可能性があります。また、加工肉には、保存性を高めるために添加物が使用されている場合があり、長期的な摂取においては、健康への影響を考慮する必要があります。

加工肉の代替案:冷凍保存の活用

私自身もスパムが大好きで、ゴーヤチャンプルには多めに入れてほしいとリクエストするほど大好きです。

だが普通の肉と同じ感覚で食べるには脂肪分が多すぎます。
魚肉ソーセージを1本食べるとお腹がいっぱいになりますが、これも脂肪が多いせいです。魚肉ソーセージは、確かにタンパク質を含んでいますが、脂質含有量も高く、特にリン酸塩などの添加物が使用されている場合があります。これらの添加物は、長期的な摂取において、健康への影響を考慮する必要があるため、頻繁な摂取は推奨されません。


「頻繁に買い物に行けないので、日持ちのするタンパク質を常備しておきたい」のであれば、後ほどご紹介するように、生の肉をまとめ買いして冷凍しておくことをおすすめします。冷凍保存は、生肉の栄養価を保持しながら、長期保存を可能にする優れた方法です。特に、真空パックに入れて冷凍することで、冷凍焼けを防ぎ、風味と食感を保つことができます。また、使用する分だけ解凍することで、無駄をなくし、経済的な負担を軽減することもできます。解凍時は、冷蔵庫でゆっくりと解凍することで、食感や風味を保つことができ、特にタンパク質の変性を最小限に抑えることができます。

 

★POINT「疲れを感じたら豚ヒレ肉」と覚えておこう。

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