2022.06.27
14 魚の魅力は、含まれる良質な油。 調理もしやすく、忙しくても食べられる
14 魚の魅力は、含まれる良質な油。調理もしやすく、忙しくても食べられる
ここまで、肉についてお伝えしてきたが、タンパク質をたっぷり含むという
点では、魚も負けていません。魚は、良質なタンパク質源として、筋力トレーニングを行う人にとって非常に優れた食材です。特に、魚に含まれるタンパク質は、アミノ酸スコアが高く、必須アミノ酸をバランス良く含有している点が特徴です。また、魚は肉類とは異なる栄養特性を持ち、特に不飽和脂肪酸の含有量が高い点が、筋トレ愛好者にとって大きな魅力となります。
また、ものによっては調理せず生(刺身)で食べられるのも魅力です。
日々忙しいビジネスパーソンが、「食べる筋トレ」生活を続けるには大きな利点です。刺身は、調理による栄養素の損失を最小限に抑えることができ、特に水溶性ビタミンや一部のタンパク質の変性を防ぐことができます。また、調理時間が不要であるため、忙しい生活の中でも、手軽にタンパク質を補給することが可能です。さらに、刺身は消化が比較的スムーズで、トレーニング前後の食事としても適しています。
さらに、魚には不飽和脂肪酸というエネルギーになりやすい脂が含まれています。不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸と比較して、代謝が活発で、エネルギーとして利用されやすいという特徴があります。また、不飽和脂肪酸は、体内で合成できない必須脂肪酸を含んでおり、食事から摂取する必要があります。
DHA・EPAの効果:青魚がもたらす筋トレへの影響
DHA・EPAの基本的な役割
特に青魚と呼ばれるサバ、イワシ、アジなどは、DHA・EPAなどの不飽和脂肪酸を多く含みます。
これは、筋肉の成長を促したり、筋トレのパフォーマンスを上げたり、中性脂肪の生成を抑えてくれたり、血液をサラサラにしたりする効果があります。
血液の流れがよくなると疲労物質を早く流してくれるので、筋肉痛の緩和や早期回復に役立ちます。
脂をとるなら魚からとるようするのがおすすめです。
DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、オメガ3脂肪酸の一種で、体内で合成できない必須脂肪酸です。これらの脂肪酸は、細胞膜の構成成分として機能し、特に筋肉細胞の膜の柔軟性を保つ働きがあるとされています。研究によれば、DHA・EPAの摂取により、炎症反応が抑制され、筋肉の回復が促進される可能性があると報告されています。また、これらの脂肪酸は、血液の流動性を改善し、末梢血管での血液循環を促進する働きがあるとされています。
筋トレパフォーマンスと回復への影響
さらに、DHA・EPAには、筋タンパク質合成を促進する可能性があるとされています。これは、これらの脂肪酸が炎症反応を抑制し、筋肉の分解を抑制することにより、筋タンパク質の合成を相対的に促進するためと考えられています。また、DHA・EPAは、中性脂肪の合成を抑制する働きがあるとされており、体脂肪率を管理したい場合にも有効です。ただし、これらの効果は個人差があり、すべての人に同様の効果が現れるわけではありません。
おすすめの魚種と栄養成分
高タンパク質な魚種の選択
どの魚もタンパク質を豊富に含んでいますが、おすすめはマグロの赤身、カツオ、タイ、ヒラメなどの白身魚。
ウニ、アナゴ、サーモンなどもいいです。
マグロの赤身は牛肉や豚肉よりもタンパク質の含有量が多い上に、鉄分、体の回復力を高めるタウリン、ビタミンB6も含む。
サーモンの身の赤い色素である「アスタキサンチン」は抗酸化作用がある。
マグロの赤身は、100グラムあたり約26グラムのタンパク質を含んでおり、これは牛肉や豚肉と比較しても非常に高い含有量です。また、マグロの赤身には、ヘム鉄が豊富に含まれており、非ヘム鉄と比較して吸収率が高いという利点があります。鉄分は、酸素運搬に不可欠であり、トレーニング中のスタミナ維持に重要です。タウリンは、アミノ酸の一種で、筋肉の回復を促進する働きがあるとされています。また、ビタミンB6は、タンパク質の代謝に関与し、筋タンパク質合成を促進する可能性があります。
サーモンに含まれるアスタキサンチンは、カロテノイドの一種で、強い抗酸化作用を持つことが知られています。抗酸化作用により、激しい運動により発生する活性酸素を中和し、筋肉の炎症を抑制する働きがあるとされています。また、アスタキサンチンは、視覚機能の改善や、皮膚の健康維持にも寄与する可能性があります。
白身魚と赤身魚の違い
白身魚(タイ、ヒラメなど)は、脂質含有量が比較的低く、高タンパク質・低脂質の食材として、減量期や体組成を管理したい場合に適しています。一方、赤身魚(マグロ、カツオなど)は、ミオグロビンというタンパク質を多く含んでおり、これが赤身の色の原因となっています。ミオグロビンは、酸素を貯蔵する働きがあり、特に持久力系のトレーニングにおいて、その効果が期待できます。
貝類やイカ・タコも立派なタンパク質源
シーフードの多様性
また、カキ、ホタテ、アサリなどの貝類や、イカ、タコなどはあまり「タンパク質」とは意識しないかもしれませんが、これらも立派なタンパク質です。
カキは、「海のミルク」とも呼ばれ、100グラムあたり約13グラムのタンパク質を含んでいます。また、カキには亜鉛が非常に豊富に含まれており、亜鉛はタンパク質合成や免疫機能に寄与します。さらに、カキにはビタミンB12も豊富に含まれており、赤血球の形成や神経機能の維持に必要不可欠です。
ホタテは、100グラムあたり約16グラムのタンパク質を含んでおり、低脂質で高タンパク質な食材です。また、ホタテにはタウリンが豊富に含まれており、筋肉の回復を促進する働きがあるとされています。アサリは、タンパク質含有量は比較的低いですが、タウリンやビタミンB12が豊富に含まれており、総合的な栄養価を考えると、優れた食材です。
イカやタコは、100グラムあたり約18グラムのタンパク質を含んでおり、低脂質で高タンパク質な食材です。また、イカやタコにはタウリンが豊富に含まれており、特にタコは、タウリン含有量が非常に高いことで知られています。タウリンは、筋肉の回復を促進し、疲労感を軽減する働きがあるとされています。
実践的な活用方法
市販の冷凍のシーフードミックス(エビ、イカ、アサリなどをミックスして冷凍したもの)を冷凍庫に常備しておくと、肉にも魚にも飽きてしまったときの第三の選択肢となってくれます。冷凍シーフードミックスは、栄養価を保持しながら長期保存を可能にし、調理も簡単で、忙しい人にとって非常に便利な選択肢となります。また、様々な種類のシーフードを一度に摂取できるため、栄養バランスを確保しながら、食事のバリエーションを豊かにすることができます。
また、コンビニには焼き魚やイカの刺身が売っているので、一度惣菜コーナーを覗いてみるのもおすすめです。
コンビニの惣菜は、保存性が高く、調理時間が不要で、手軽にタンパク質を補給できる優れた選択肢です。特に、焼き魚は、調理により余分な脂質が落ち、さらに低脂質な仕上がりになります。また、イカの刺身は、調理による栄養素の損失を最小限に抑えることができ、特にタウリンなどの水溶性成分を効率的に摂取することができます。
缶詰の活用:携帯できるタンパク質源
サバ缶の栄養価と摂取方法
忘れてはいけないのがサバ缶やツナ缶などの「缶詰」です。
頻繁に買い物に行けない人は、缶詰類を上手に使ってタンパク質を補給しましょう。
いまサバ缶がブームになっていますが、これは生のサバより栄養豊富な点が見直されたことによります。
サバ缶は、加熱していないサバを缶のなかに入れてから火を通すため、DHAやEPAがそのまま缶のなかに残ります。
したがってせっかくサバ缶を食べるなら、加熱せずそのまま食べるのがお勧めです。
サバ缶は、生のサバを缶詰にした後、加熱処理を行うため、DHA・EPAが缶の中に溶け出し、そのまま残ります。これは、生のサバを調理する場合、DHA・EPAが流出する可能性があるのに対し、サバ缶では、これらの脂肪酸が缶の中に保持されるという利点があります。また、サバ缶は、骨まで軟らかくなっており、カルシウムを効率的に摂取することができます。カルシウムは、骨の健康維持に重要であり、特に激しいトレーニングを行う場合には、十分な摂取が推奨されます。
ツナ缶の選び方と注意点
ちなみに私はノンオイルのツナ缶をよく食べているのですが、通常のツナ缶は、サラダ油を使っているため、あまりおすすめしていません。
ツナ缶には食塩入りと食塩なしの2種類があるが、「追いタンパク」のための一品にするためには、食塩ありのほうが食べやすいと思います。
もちろん、ツナにマヨネーズやドレッシングをかけないよう注意しましょう。
ノンオイルのツナ缶は、余分な脂質を避けながら、タンパク質を効率的に摂取できる優れた選択肢です。一方、通常のツナ缶は、サラダ油(リノール酸が主成分)が使用されている場合があり、過剰摂取は避けるべきです。リノール酸は、必須脂肪酸の一種ですが、過剰摂取により、炎症反応が促進される可能性があるとされています。食塩入りのツナ缶は、確かに味が良く、食べやすいですが、高血圧のリスクを考慮する場合には、食塩なしのツナ缶を選ぶことが賢明です。また、マヨネーズやドレッシングは、脂質やカロリーが高く、体組成を管理したい場合には避けるべきです。
★POINT サバ缶、ツナ缶はいつでもどこでも食べられる。
スーツの内ポケットに忍ばせておこう。
