2022.06.27

15 卵は、非のつけどころがない完全食である

卵は、非のつけどころがない完全食である

卵も、ぜひ食べてほしいタンパク質豊富な食材です。
肉、魚よりも手軽にタンパク質がとれるし、消費期限も肉や魚より長く、値段も安価です。卵は、アミノ酸スコアが100という完璧なタンパク質源であり、必須アミノ酸9種をバランス良く含有しています。特に、筋タンパク質合成に重要なロイシンやバリン、イソロイシンといった分岐鎖アミノ酸(BCAA)の含有量も豊富です。また、卵は調理が簡単で、様々な調理方法に適応できるため、食事のバリエーションを豊かにしながら、栄養管理を継続することができます。

また、「完全食」と言われるほど、栄養が豊富です。
トレーニーのあいだでは、「卵黄は食べずに、卵白だけを食べたほうがいい」とか、「いや、全卵(卵黄と卵白の両方)を食べるべきだ」などと意見が割れています。

「卵白しか食べない」派は、「卵黄の脂質が気になる」という理由から反対しているのですが、私自身は全卵がいいのではないかと考えています。
 

全卵 vs 卵白:栄養学的観点からの考察

全卵を推奨する理由:脂質の重要性

なぜなら脂質も筋肉づくりには欠かせない栄養素だからです。
また卵黄に入っているレシチンという脂質は各細胞の材料になり、血液の流れをよくしてくれます。


どうしても脂肪をとりたくないときは、卵白だけにすればいいと思います。

脂質は、筋肥大において重要な役割を果たします。特に、テストステロンなどのホルモン合成に必要な材料であり、十分な脂質を摂取することで、筋肥大に有利なホルモン環境を整えることができます。また、脂質は脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を促進する働きもあり、総合的な栄養バランスを考えると、適度な脂質摂取は重要です。卵黄には、これらの脂溶性ビタミンが豊富に含まれており、特にビタミンDは、筋機能や骨の健康に重要な役割を果たします。

レシチンは、リン脂質の一種で、細胞膜の構成成分として機能します。レシチンは、血液中のコレステロールと結合し、血管壁への沈着を防ぐ働きがあるとされています。また、レシチンは、神経伝達物質の合成にも関与しており、特に記憶力や集中力の維持に寄与する可能性があります。さらに、レシチンは、肝機能を改善する働きがあるとされており、特に激しいトレーニングを行う場合には、肝臓の負担を軽減する効果が期待できます。

卵白の栄養価と用途


ちなみに、筋肉食堂には、「卵白の山盛り」という名物メニューがあります。
出汁で風味を加えた卵の白身だけを型に入れて固めたものですが、脂質の多い黄身の部分がないので、脂質を控えたいときに便利でとても人気なメニューです。

卵白は、100グラムあたり約10グラムのタンパク質を含んでおり、脂質はわずか0.1グラム程度です。この低脂質特性は、特に減量期や体脂肪率を厳密に管理したい場合において、非常に魅力的な選択肢となります。また、卵白は、調理が簡単で、様々な料理に組み合わせやすいという利点があります。ただし、卵白には、脂溶性ビタミンがほとんど含まれておらず、総合的な栄養価を考えると、全卵の方が優れている場合があります。

コレステロールに関する最新知見

卵のコレステロールに関する誤解の解消

少し前までは「卵は1日1個までにしないと、コレステロール値が高くなる」といわれていましたが、現在は「何個食べてもかまわない」という説が有力になっています。

むしろ卵黄がコレステロール値を下げるという説もあるほどです。

 

従来の研究では、食事からのコレステロール摂取が、血中コレステロール値に直接影響を与えると考えられていました。しかし、近年の研究によれば、食事からのコレステロール摂取と血中コレステロール値の関係は、個人差が大きく、一概に結論づけることはできないとされています。特に、健康な成人においては、食事からのコレステロール摂取が、血中コレステロール値に与える影響は限定的である可能性が高いとされています。

また、卵黄には、レシチンやオレイン酸などの成分が含まれており、これらの成分は、コレステロールの代謝を改善する働きがあるとされています。特に、レシチンは、HDL(善玉)コレステロールを増加させ、LDL(悪玉)コレステロールを減少させる働きがあるとされており、結果として、コレステロール値の改善に寄与する可能性があります。ただし、これらの効果は個人差があり、すべての人に同様の効果が現れるわけではありません。

調理方法と消化吸収:最適な摂取方法

生卵の消化吸収の問題点

卵の偉大なところはさまざまな食べ方ができるところです。
茹でてよし、焼いてよし。
茹で卵はまとめてつくっておけますし、持ち歩きもできるので、小腹が空いたときのおやつとしても最適です。

最近はコンビニでも茹で卵が売っているので「追いタンパク」が簡単にできます。

ちなみに、生でも食べられる卵ですが、じつは生卵はあまり消化がよくありません。

映画『ロッキー』で、ボクサーの主人公ロッキーが、トレーニング前に生卵を5個連続でコップに割り入れて一気飲みするシーンが有名ですが、あまり消化にはよくないのです。

生卵は、卵白に含まれるアビジンというタンパク質が、ビオチン(ビタミンB7)と結合し、ビオチンの吸収を阻害する可能性があります。また、生卵は、加熱調理された卵と比較して、タンパク質の消化吸収率が低いという報告があります。これは、加熱によりタンパク質が変性し、消化酵素による分解が容易になるためと考えられています。さらに、生卵には、サルモネラ菌などの食中毒菌が存在する可能性があり、特に免疫力が低下している場合には、感染リスクが高まります。

最適な調理方法:半熟が最良


消化がいいのは、温泉卵のような半熟の状態で、
そうすることによって栄養の吸収率もよくなります。

ビルダーの人がよくやるのが、沸騰しているお湯に生卵を割り入れて、白身が固まったらすぐに引き上げるポーチドエッグ。

ゆで卵の殻をきれいにむくには茹でてすぐ冷水につけたりする必要がありますが、ポーチドエッグならその必要がないので調理もラクです。

私は、よく生卵を味噌汁に落として食べます。
いい頃合いに火が通るのでおすすめです。

 

半熟状態の卵は、タンパク質が適度に変性し、消化酵素による分解が容易になるため、消化吸収率が高まります。また、半熟状態では、ビオチンの吸収阻害も最小限に抑えられ、総合的な栄養価が向上します。さらに、半熟状態では、食中毒菌のリスクも低減され、安全性が向上します。

温泉卵は、約65度の温度で長時間加熱することにより、卵白が固まり、卵黄が半熟状態になります。この温度は、タンパク質の変性を促進し、消化吸収率を向上させる最適な温度とされています。ポーチドエッグは、沸騰したお湯に卵を割り入れることで、短時間で半熟状態を作ることができ、調理も簡単です。また、味噌汁に生卵を落とす方法は、味噌汁の温度により適度に加熱され、半熟状態を作ることができるため、手軽で実用的な方法です。

★POINT これからは、黄身も恐れず食べるようにしよう。

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