2022.06.27
18 プロテイン、飲む? 飲まない? そりゃ飲むでしょ!
プロテイン、飲む? 飲まない?そりゃ飲むでしょ!
前述したように、特に日本人はタンパク質の摂取量が足りません。
ここまで良質なタンパク質を含む食材について解説してきましたが、これらで1日の理想の摂取量をクリアするのもとても難しいです。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によれば、成人男性のタンパク質推奨摂取量は、1日あたり体重1キログラムあたり0.9グラムとされていますが、筋力トレーニングを行う場合には、1日あたり体重1キログラムあたり1.6〜2.2グラムの摂取が推奨されています。体重70キログラムの人の場合、1日あたり約112〜154グラムのタンパク質が必要となり、これを食事のみで摂取するのは非常に困難です。
そこで味方になってくれるのが「プロテイン」です。
以前は、よく「プロテインを飲んだほうがいいでしょうか」と聞かれていました。
答えはもちろん「YES」。
プロテインは、体づくりの味方になってくれます。
プロテインをサプリのように考えている人がいますが、トレーニーにとっての
プロテインは、そんなレベルではありません。
とって当たり前と考えてほしいのです。
プロテインとは:種類と特徴
プロテインの基本的な定義
いまさら説明するまでもありませんが、プロテインとは、タンパク質を多く含む食材からタンパク質成分だけを抽出したもので、多くは粉状になっています。
このパウダーを水や牛乳、ジュースなどに溶かして飲むのが一般的です。
プロテインは、食品からタンパク質を濃縮・精製したもので、通常、1食あたり20〜30グラムのタンパク質を含んでいます。これは、一般的な食事では得られない高濃度のタンパク質を、手軽に摂取できることを意味します。また、プロテインは、炭水化物や脂質の含有量が比較的低いため、カロリーを抑えながら、タンパク質を効率的に摂取することができます。
プロテインの種類と原料
原料はさまざまで、主に「ホエイ」「ソイ」「ミルク」「エッグ」の4種類で、ホエイとは牛乳からつくられるホエイタンパクのことで、日本語では「乳清」といいます。
そのほかにソイは大豆、ミルクは牛乳、エッグは卵で、これらの原料からタンパク質成分を抽出しています。
最も栄養価が高いのがホエイ由来のプロテインで、筋肉の分解を防ぐBCAA(Branched Chain Amino Acid:分岐鎖アミノ酸)と呼ばれるアミノ酸も豊富です。
このプロテイン、以前はスポーツ用品専門店などにしか置いていませんでしたが、最近はドリンクタイプのものがコンビニでも手に入るようになりました。
ホエイプロテインは、牛乳からチーズを製造する際に生成される乳清を原料としています。ホエイは、アミノ酸スコアが100に近く、特にBCAA(ロイシン、バリン、イソロイシン)の含有量が豊富です。特に、ロイシンは、筋タンパク質合成を直接的に活性化するmTORシグナル経路を刺激するため、筋トレ後の筋肉修復と成長において極めて重要な役割を果たします。また、ホエイプロテインは、消化吸収が速く、トレーニング後の筋タンパク質合成を促進するのに適しているとされています。
ソイプロテインは、大豆からタンパク質を抽出したもので、アミノ酸スコアが100であることが確認されています。ソイプロテインは、消化吸収がゆっくりで、長時間にわたってアミノ酸を供給する働きがあるとされています。また、ソイプロテインは、イソフラボンを含んでおり、抗酸化作用があるとされています。
カゼインプロテインは、牛乳からタンパク質を抽出したもので、消化吸収が非常にゆっくりで、長時間にわたってアミノ酸を供給する働きがあるとされています。特に、就寝前の摂取に適しているとされています。
エッグプロテインは、卵からタンパク質を抽出したもので、アミノ酸スコアが100に近く、特に必須アミノ酸をバランス良く含有しています。エッグプロテインは、乳糖不耐性や乳アレルギーがある場合に、優れた選択肢となります。
プロテインとトレーニングの関係:効果を最大限に引き出す摂取方法
筋トレとセットで摂取することの重要性
そのため運動習慣のない人でも、「これは健康にいいもの」と思って飲む人がいますが、基本的には筋トレとセットにして摂取すると効果を最大限に感じられるものです。
筋トレをしていない人が、「今日は食べすぎてお腹がパンパンだけど、寝る前にプロテイン飲まないと」というような義務的な飲み方をする必要は全くありません。
それは間違いなく太ります。
プロテインは、筋トレと組み合わせることで、その効果を最大限に発揮します。筋トレにより、筋肉に負荷がかかり、筋タンパク質の分解が促進されます。この時、十分なタンパク質を摂取することで、筋タンパク質の合成が促進され、筋肉の修復と成長が可能になります。筋トレを行わない場合、プロテインを摂取しても、筋タンパク質合成が促進されないため、余分なカロリーとして蓄積され、体脂肪の増加につながる可能性があります。
研究によれば、筋トレ後30分〜2時間以内にタンパク質を摂取することで、筋タンパク質合成が最大限に促進されることが報告されています。この時間帯は、「ゴールデンタイム」とも呼ばれ、質の高いタンパク質を摂取することで、より効果的な筋肉の回復と成長が期待できます。特に、ホエイプロテインは、消化吸収が速く、このゴールデンタイムに適しています。
摂取量とタイミングの目安
プロテインの摂取量は、個人の体重、トレーニング強度、目的によって異なりますが、一般的には、1回あたり20〜30グラムのタンパク質を摂取することが推奨されています。これは、1回の食事で筋タンパク質合成を最大限に促進するために必要なタンパク質の量とされています。また、1日あたりの総タンパク質摂取量は、体重1キログラムあたり1.6〜2.2グラムが推奨されており、これを食事とプロテインで組み合わせて摂取することが理想的です。
摂取タイミングとしては、トレーニング後30分〜2時間以内が最も重要ですが、その他にも、トレーニング前、就寝前、起床後など、様々なタイミングで摂取することが可能です。特に、就寝前のカゼインプロテインの摂取は、睡眠中の筋タンパク質合成を促進する可能性があるとされています。
継続のために味つきのものを選ぶのもアリ
味つきプロテインの利点と注意点
発売されたばかりのころのプロテインはあまりおいしくありませんでした。
特にまったく味のついていない、プレーンタイプは非常に飲みにくかった記憶があります。
ただ、最近はチョコレート味、イチゴ味、バニラ味など、いろいろな味のものが発売されています。
「飲みやすくするために味をつけたものは、糖分を加えているからよくない」と言う人もいますが、私はこの程度の糖分なら運動すれば消費できる量だと考えています。
プロテインを飲んでみたけれど、そのまずさに懲りて二度と飲まなくなるよりは、自分の好きな味を飲んだほうがいいです。
すべてにおいて、継続が何よりも重要だというのが私の考えです。
味つきプロテインは、確かに糖分が添加されている場合がありますが、一般的には1食あたり5〜10グラム程度の糖分が含まれています。これは、一般的な清涼飲料水と比較すると、非常に低い糖分含有量です。また、トレーニング後の糖分摂取は、グリコーゲンの回復を促進し、筋肉の回復を助ける働きがあるとされています。ただし、減量期や体組成を厳密に管理したい場合には、無糖タイプのプロテインを選ぶことが賢明です。
また、味つきプロテインは、人工甘味料を使用している場合もあります。人工甘味料は、カロリーが低く、血糖値に影響を与えないため、減量期にも適しています。ただし、人工甘味料に対する個人の感受性は異なるため、自分に合ったものを選択することが重要です。
継続性を考えると、味の好みは非常に重要な要素です。まずいプロテインを無理に飲み続けるよりも、自分の好みに合った味のプロテインを選ぶことで、長期的な栄養管理を継続することができます。また、様々な味のプロテインを試すことで、食事のバリエーションを確保し、飽きを防ぐこともできます。
★POINT:プロテインは、魔法の薬ではない。
必ずトレーニングとセットで摂取しよう。
