2022.07.14

43 体重に惑わされると、道に迷うことに。 変化を実感したいなら、体脂肪を計測せよ!

体重に惑わされると、道に迷うことに。変化を実感したいなら、体脂肪を計測せよ!

前項で、「筋肉は少しずつしかつかない」とお伝えしました。
これが、筋トレや食事制限の継続を難しくする要素です。
多くの人はすぐに結果を欲しがります。
そして、それが叶わないと急激にモチベーションが下がってしまいます。


ここからは、それに負けず、トレーニング、
そして「食べる筋トレ」を続けるための方法についてお伝えしていこうと思います。

 

継続のために重要なのは、目的を見誤らないことです。

具体的には、体重を落とすことではなく、筋肉をつけながら体脂肪を落とすことを意識する。


体づくりのプロセスを数値で管理するのであれば、体重ではなく体脂肪率で管理するようにする。
体脂肪率とは脂肪を体重で割ったものですが、今やほとんどの体重計に体脂肪を測る機能が備わっています。

ちなみに、一般的なトレーニーは、体脂肪率12~16%程度を目指すといいと思います。



では、なぜ体重ではなく、体脂肪率で考える必要があるのでしょうか。
体重を意識すべきではない理由はこうです。

体重を意識してしまうと、
どうしても「体重増は×」「体重減は〇」
という図式にとらわれて、食事の量を増やすことに心理的な抵抗を感じてしまうからです。

しかし体重というのは、筋肉も血液も内蔵も、すべて含んでその数値なのです。

▼身長170センチ、体重70キロってどんな体?

たとえ話をすると、身長170センチ、体重70キロの男性と聞いて、どういう姿を思い浮かべるでしょうか?
ちょっと昔にはなりますが私は、K1グランプリに出場していたころの魔裟斗選手をパッと思い浮かべます。

しかし新橋駅前に行けば、身長170センチ、体重70キロ、中肉中背でお腹の脂肪がベルトに乗っているおじさんは簡単に見つかります。
現在の私は身長173センチ、72キロだ。
こう言うといつも、「へえ、意外と体重があるんですね」とよく言われます。


私が見た目よりも体重があるのは、筋肉が脂肪よりも重いからです。
つまり体重というのは、見た目とあまり関係ないものなのです

にもかかわらず、体重を減らすことだけに専念してしまうと、筋肉が思うように増えなかったり、逆に減ってしまったりしても気づかない。

 

ここまで何度もお伝えしてきたが、筋肉が減ってしまうと、代謝が悪くなり、脂肪が燃えにくくもなります。
それなのに「あ、体重増えた。まずい、減量しないと」と食事を減らしてしまっては、悲劇としか言いようがありません。


しかもダイエットしているなら、努力しても思うように体重が落ちない停滞期は必ずやってきます
このとき、体重だけが唯一の目安になっていると、挫折する可能性が高いのです。

 

★POINT
そろそろ、「体重減=痩せた」という固定化観念から抜け出そう。


体重に惑わされるな!体脂肪率と体組成の真実【専門的補足】

元の記事では、体づくりの指標として「体重」に一喜一憂する危険性と、「体脂肪率」で管理することの重要性について述べられています。ここでは、この概念をさらに深く掘り下げ、「なぜ体重がアテにならないのか」、そして「体脂肪率をどう活用すべきか」について、生理学および栄養学の観点から詳細に解説します。

▼「体重」という数字の罠:筋肉と脂肪の密度の違い

元の記事で「筋肉は脂肪よりも重い」と述べられている点は、体づくりにおいて最も理解すべき基本原則の一つです。具体的には、筋肉の密度は約1.06 g/mlであるのに対し、脂肪の密度は約0.9 g/mlです。つまり、同じ体積(大きさ)であれば、筋肉は脂肪よりも約18%重いということになります。

想像してみてください。1kgの鉄と1kgの綿(わた)では、綿の方がはるかに「かさばる」のと同じです。体づくりを始めたばかりの人が、食事(食べる筋トレ)を改善し、トレーニングを始めると、体内で以下のような変化が同時に起こることがあります。

  • 体脂肪が 1kg 減る(見た目はスリムになる)
  • 筋肉が 1kg 増える(体は引き締まる)

この場合、体重計の数字は「プラスマイナスゼロ」で変化しません。もし体重だけを見ていたら、「こんなに頑張っているのに、体重が全然減らない…」と絶望し、挫折してしまうでしょう。しかし実際には、体の中身(体組成)は劇的に改善しています。これが「体重に惑わされると道に迷う」ことの正体です。

▼体組成(Body Composition)で考える「除脂肪体重」の重要性

専門的な体づくりでは、「体重」を以下の2つに分けて考えます。

  1. 脂肪量 (Fat Mass): 体内の総脂肪の重さ。
  2. 除脂肪体重 (Fat Free Mass, LBM): 体重から脂肪量を除いた重さ。筋肉、骨、内臓、血液など、脂肪以外のすべてを含みます。

体重 = 脂肪量 + 除脂肪体重

「食べる筋トレ」の真の目的は、「脂肪量を減らし、除脂肪体重(特に筋肉)を維持、あるいは増やすこと」です。元の記事の例(身長170cm、体重70kg)で言えば、体組成が全く異なります。

  • 魔裟斗選手(仮): 体脂肪率 10% (脂肪量 7kg) → 除脂肪体重 63kg
  • 新橋のおじさん(仮): 体脂肪率 30% (脂肪量 21kg) → 除脂肪体重 49kg

同じ70kgでも、筋肉や骨格を支える「除脂肪体重」が14kgも違います。除脂肪体重が多いほど、基礎代謝量(BMR: 何もしていなくても消費されるカロリー)が高くなります。つまり、魔裟斗選手の体は、おじさんの体よりも「燃費が悪く、太りにくいエンジン」を搭載していると言えます。

体重計の数字だけを追い、過度な食事制限(食べないダイエット)を行うと、体はエネルギー不足を補うために筋肉(除脂肪体重)を分解し始めます。その結果、脂肪と共に筋肉も失われ、体重は減るかもしれませんが、「除脂肪体重」も減少し、基礎代謝が低下します。これが、ダイエットをやめた瞬間にリバウンドする最大の原因です。

▼体脂肪率の測定:家庭用体重計(BIA法)の特性と注意点

元の記事では「ほとんどの体重計に体脂肪を測る機能が備わっている」とありますが、これは一般的に「生体電気インピーダンス法(BIA法)」と呼ばれる方式です。

BIA法の仕組み:

体に微弱な電流を流し、その「電気抵抗(インピーダンス)」を測定します。脂肪組織は水分が少なく電気が通りにくい(抵抗が高い)のに対し、筋肉組織は水分が多いため電気が通りやすい(抵抗が低い)という性質を利用し、体脂肪率を「推定」します。

BIA法の注意点(変動要因):

BIA法は手軽ですが、体内の「水分量」によって数値が大きく変動します。以下の要因で、1日の中でも2〜3%(時にはそれ以上)変動することを理解しておく必要があります。

  • 測定タイミング: 起床直後(体が水分不足)は高く出やすく、食後や入浴後(血行が促進)は低く出やすいです。
  • 水分摂取: 大量の水を飲んだ直後は低く出ることがあります。
  • 運動・入浴: 汗をかいて脱水状態になると高く出ます。
  • 食事: 食後は消化のために血流が内臓に集まり、測定値が変動します。
  • その他: むくみ、体温、女性の場合は月経周期なども影響します。

したがって、家庭用体重計の体脂肪率を使う場合は、「絶対値」に一喜一憂するのではなく、「毎日、同じ時間、同じ条件(例:起床後、トイレを済ませた直後)」で測定し、その数値の「長期的なトレンド(傾向)」を見ることが重要です。

▼ダイエットの「停滞期」と体脂肪率

元の記事で触れられている「停滞期」は、生理学的に避けられない現象です。体重だけを見ていると挫折しやすいこの時期こそ、体脂肪率と体組成の視点が必要です。

なぜ停滞期が起こるのか?

  1. 代謝の適応(Adaptive Thermogenesis): 体重が減り、摂取カロリーが少ない状態が続くと、体は「飢餓状態」と判断し、エネルギー消費を抑えようとします(基礎代謝の低下)。
  2. 水分量の回復: ダイエット初期(特に糖質制限)に減るのは、主にグリコーゲンとそれに伴う水分です。停滞期は、この水分が一時的に戻ったり、筋肉の修復過程で水分が保持されたりすることで、体重が減らなくなる時期です。
  3. 筋肉量の増加: (特に初心者の場合)脂肪が減ると同時に筋肉が増え、体重が相殺されている可能性(リコンポジション)。

停滞期に体重計の数字が動かなくても、体脂肪率のトレンドが(わずかでも)減少傾向にあれば、体組成は改善しています。「食べる筋トレ」を継続し、タンパク質を確保しつつ、摂取カロリーや運動強度を再調整する(チートデイを設けるなど)ことで、停滞期は打破できます。

★POINT(補足)
体づくりは「体重」を減らすゲームではない。「体組成」を最適化するプロセスである。体重計の数字は、あくまで参考値と心得るべし。

魔裟斗選手の例のように、目指すべきは「機能的で引き締まった体」であり、それは「除脂肪体重」によって支えられています。体重という呪縛から解放され、「食べる筋トレ」によって筋肉を守り育てながら脂肪をコントロールするという、正しい知識に基づいたアプローチを継続してください。

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