2022.06.27
27 「しまった、食べすぎた」 焦らず慌てず、翌日で調整。 ダイエットには執行猶予がある!
「しまった、食べすぎた」は戦略的にリセット可能。ダイエットには「執行猶予」がある!
減量期を過ごしていると、どんなにストイックな人でも「まずい、やっちまった!」と思う瞬間が訪れるものです。
たとえば、お酒を飲んで羽目を外し、勧められるがままにたくさん食べてしまった上、帰りに締めのラーメンまで食べてしまった。
あるいは、仕事のストレスがたまって、いけないと思いながらチョコレートを1箱ぜんぶ空けてしまった......。
減量期に、このようなことがあると「私はなんて意志が弱い、ダメな人間なのだ」と自信をなくし、自己嫌悪に陥り、これまで続けてきた食事制限やトレーニングを「もうどうでもいいや」とやめてしまうことにもなりかねません。これが、ダイエット失敗の最も典型的なパターンです。
しかし、そんなときも、絶対に慌てないでください。パニックになる必要は一切ありません。
食べた瞬間、それがすぐに体脂肪になるわけではないからです。
(食後にお腹がポッコリ出ることはありますが、それは胃が物理的に膨らんでいるだけです)
この記事では、なぜ「食べ過ぎ」が即「脂肪」にならないのかという体のメカニズム(=執行猶予の正体)と、その「執行猶予」期間中に何をすべきか、具体的なリセット戦略を徹底的に解説します。
1. 「食べ過ぎ」が「体脂肪」になるまでのタイムラグ
食べ過ぎたものが体脂肪として定着するには、いくつかのステップがあり、一定の時間がかかります。このステップを知ることが、パニックを防ぐ最大の武器となります。
ステップ①:消化・吸収と「グリコーゲン」への貯蔵
口から入った食べ物(特に炭水化物=糖質)は、消化・吸収されてブドウ糖(グルコース)となり、血液中に放出されます。
このブドウ糖を、体はまず「最優先で使うエネルギー源」として、肝臓と筋肉に貯蔵します。この貯蔵形態を**「グリコーゲン」**と呼びます。これが、食べ過ぎたカロリーの**「第一のバッファ(緩衝材)」**です。
体内に貯蔵できるグリコーゲンの量は、人によりますが、おおよそ以下の通りです。
- 肝グリコーゲン:約100g (約400 kcal) … 全身の血糖値維持(特に脳)のために使われる
- 筋グリコーゲン:約300〜500g (約1200〜2000 kcal) … 筋肉が動くための直接的なガソリン
減量期やトレーニング後、これらのグリコーゲンタンクは枯渇(空っぽ)に近い状態になっています。食べ過ぎた糖質は、まず、この空のタンクを埋めるために最優先で使われます。
ステップ②:「グリコーゲン」が満タンになった後、あふれた分が脂肪へ
この合計約1600〜2400kcal分の「グリコーゲン・バッファ」が満タンになっても、まだ血中にブドウ糖が余っている場合、インスリンの働きによって、その余ったブドウ糖が初めて「脂肪細胞」へと運ばれ、中性脂肪として合成されます。(これをデ・ノボ脂質合成と呼びます)
脂質(油)も同様に、エネルギーとして使いきれなかった分が体脂肪になりますが、糖質のように「グリコーゲン」という大きなバッファがないため、過剰に摂取した分は、糖質よりも効率よく体脂肪として蓄積されやすい特性があります。
つまり、「食べ過ぎた=即、脂肪」ではないのです。グリコーゲンという「執行猶予」タンクが満タンになるまでの猶予があるのです。この全プロセスが完了し、「体脂肪として定着」するまでには、一般的に24時間から48時間(1〜2日)かかると言われています。
2. 翌朝、体重が増えている「本当の理由」
「でも、食べ過ぎた翌朝は必ず体重が2kgも増えている!」—— この経験が、私たちをパニックに陥らせます。
しかし、これも慌ててはいけません。その体重増加の正体は、「脂肪」では絶対にありません。
体脂肪1kgを蓄積するには、約7200kcalの純粋なカロリーオーバーが必要です。一晩で2kg(=14400kcal)も太ることは物理的に不可能です。
翌朝の体重増加の正体は、ほぼ100%、**「水分」**と**「グリコーゲン」**の重さです。
- ① グリコーゲンと水分の結合:
グリコーゲンは、その分子の特性上、多くの水分と結合して貯蔵されます。**「グリコーゲン1gあたり、約3〜4gの水分」**が体内に保持されると言われています。仮に、枯渇していたグリコーゲンが500g再充填されたとすると、500g(グリコーゲン) + 2000g(水分) = 合計 2.5kg の体重増加要因となります。
- ② 塩分(ナトリウム)による浮腫(むくみ):
食べ過ぎた食事(特にラーメン、ピザ、スナック菓子など)には、大量の「塩分(ナトリウム)」が含まれています。体は、体内のナトリウム濃度を一定に保つため(ホメオスタシス)、水分を体内に溜め込み、濃度を薄めようとします。これが「むくみ」による体重増加です。
この増えた体重は、脂肪ではなく、一時的に体内に保持された「水」です。グリコーゲンがエネルギーとして使われ、過剰なナトリウムが排出されれば、2〜3日以内に元に戻ります。ここで「太った!」と勘違いして、ダイエットをやめてしまうことこそが、本当の「失敗」なのです。
3. 食べ過ぎた「執行猶予期間(翌48時間)」にすべきこと
「食べ過ぎた」と気づいた瞬間から、「執行猶予(48時間)」のカウントダウンが始まります。この期間に、いかに賢く「リセット(調整)」できるかが、運命の分かれ道です。
絶対にやってはいけないのは、「もうダメだ」と自暴自棄になって翌日も食べ続けること(=どうにでもなれ効果)、またはパニックになって「翌日、断食する」という極端な行動です。
A) 食事戦略:「抜く」のではなく「質を変える」
食べ過ぎた翌日に「断食」や「極端な食事抜き」をすると、体は強い飢餓シグナルを感じ、次の食事での吸収効率を上げ、さらに代謝を落とそうとします。また、強い空腹感は、次の「暴食」の引き金になります。
- 朝食は抜かない(ただし軽めに):
プロテインシェイク、ゆで卵、ギリシャヨーグルトなど、良質なタンパク質と少量の食物繊維(例:オイコスと少量のナッツ)を摂り、代謝のスイッチを入れ、血糖値を安定させます。 - タンパク質と食物繊維を最優先に:
1日を通して、鶏胸肉、魚、卵、大豆製品などの「タンパク質」と、野菜、キノコ類、海藻類などの「食物繊維」を中心とした食事にします。これらは満腹感が高く、血糖値の乱高下を防ぎます。 - 炭水化物は「管理」する:
食べ過ぎた(主に糖質)分を調整するため、翌日〜翌々日の炭水化物量は減らします。ただし「ゼロ」にはしません。オートミール、玄米、芋類などの「低GI・高食物繊維」の炭水化物を、普段の半分程度の量で摂取します。(※24 減量期もガマンは不要。 主食はこれに置き換えろ!参照) - 水分を「大量に」飲む:
これが非常に重要です。1日2〜3リットルの水を意識的に飲みます。これにより、過剰なナトリウム(塩分)の排出が促され、「むくみ」が素早く解消されます。
B) 運動戦略:「罰」ではなく「活用」する
食べ過ぎたカロリー(グリコーゲン)は、体にとっては「有り余るガソリン」です。これを「罰」として苦しい有酸素運動で消費しようとすると、精神的に辛くなります。
発想を転換し、このガソリンを**「筋肉を育てるために活用」**します。
- 筋トレ(レジスタンス運動)を行う:
食べ過ぎた翌日は、筋グリコーゲンが満タンの状態です。これは、普段より重い重量が扱えたり、回数を多くこなせる「ボーナスタイム」です。このエネルギーを使ってハードな筋トレ(特に胸、背中、脚などの大きな筋肉)を行うことで、溢れたエネルギーを「脂肪」ではなく「筋肉の修復・成長」へと向かわせる(栄養素の分配を最適化する)ことができます。 - NEAT(非運動性熱産生)を増やす:
ジムに行けない場合でも、一駅分多く歩く、階段を使う、こまめに掃除をするなど、日常生活での活動量を意識的に増やす(NEAT)だけでも、総消費カロリーは大きく変わります。
C) メンタル戦略:「失敗」ではなく「戦略的チート」と捉える
最も重要なのがメンタルです。一度の食べ過ぎで自信を失わないでください。
26 「チートデー」で、現状維持を求める脳を騙す!で解説したように、減量中の停滞期を打破するために「チートデー」という戦略があります。今回の食べ過ぎは、「意図せずチートデー(リフィード)が来た」と考え直すのです。
「これで停滞していた代謝がリセットされ(レプチンが回復し)、枯渇していたグリコーゲンも満タンになった。明日からのトレーニングが捗るぞ」
このように、起きたことを「ポジティブな戦略」として捉え直すことで、罪悪感から解放され、翌日からまたクリーンな食事とトレーニングに戻るモチベーションが生まれます。
まとめ:失敗をリセットする「知識」こそが武器
ダイエットの成功は、一度も失敗しないことではありません。失敗(食べ過ぎ)を、いかに早く、賢く「リセット」できるかにかかっています。
「食べ過ぎ=即脂肪」ではない。体には「グリコーゲン」という執行猶予がある。
「翌日の体重増=水分」であり、2〜3日で戻る。
「リセット」は、食事の質(高タンパク・高食物繊維)と運動(筋トレ)で、余ったエネルギーの行き先を「脂肪」から「筋肉」に変えること。
この知識さえ持っていれば、食べ過ぎはもはや恐怖の対象ではありません。自信を持って「食べる筋トレ」を継続してください。
「筋肉食堂DELI」の食事は、まさにこの「リセット」の日に最適です。PFCバランスが完璧で、高タンパク・低脂質、そして炭水化物が(玄米など)コントロールされているため、何も考えずに選ぶだけで、あなたの調整日を強力にサポートします。
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