2022.06.27
32 三食すべてでタンパク質をとる。 「足りないなと」思ったら、「追いタンパク」で一品追加せよ
「追いタンパク」の技術。三食均等とコンビニ活用術が筋肥大の鍵を握る
普段、何も考えずに食事をとっている人は、気がつくと「炭水化物(糖質)」中心のメニューに偏っていることが驚くほど多いものです。
朝は、トーストとコーンポタージュ。(タンパク質 ほぼ無し)
昼は、牛丼、ラーメン、ハンバーガー。(タンパク質より脂質と糖質が圧倒的に多い)
夜は、ご飯と味噌汁、唐揚げ、肉じゃが、ビール。(夜にタンパク質が偏りがち)
日々の食事がこんな感じの読者も多いのではないでしょうか。この食事パターンでは、1日の「総タンパク質量」が不足するだけでなく、より深刻な「摂取タイミングの偏り」という問題を抱えています。
この記事では、30 どう食べるかだけでなく「いつ食べるか?」も重要。タンパク質は、摂取のタイミングによって効果に圧倒的な差がつくで触れた「タンパク質摂取のタイミング」をさらに深掘りし、「なぜ三食すべてでタンパク質をとるべきなのか」という科学的根拠と、それを実現するための超実践的テクニック「追いタンパク」について徹底解説します。
1. なぜ「三食すべて」でタンパク質を摂るべきなのか?
「1日の総タンパク質量(体重×1.6gなど)さえ満たしていれば、いつ食べても同じでは?」と考えるかもしれません。例えば、1日の必要量120gを、夜ご飯でドカ食い(例:ステーキ500g)して摂取する、などです。
しかし、体(筋肉)はそれほど単純ではありません。筋肉を効率よく成長させるには、「総量」だけでなく「配分」が決定的に重要です。
A) 筋タンパク質合成(MPS)の「スイッチ」
私たちの体は、常に筋肉の「合成(アナボリック)」と「分解(カタボリック)」を繰り返しています。筋肉を成長させるには、このバランスを「合成>分解」に傾ける必要があります。
この「合成」を開始させるシグナルを**「筋タンパク質合成(MPS: Muscle Protein Synthesis)」**と呼びます。そして、このMPSのスイッチを押すのが、食事から摂取されるタンパク質、特に「ロイシン」というアミノ酸です。
B)「ロイシン・スレッショルド(閾値)」の壁
研究によると、MPSのスイッチは、中途半端なタンパク質摂取(例:5g〜10g)では押されません。一定量(これを「ロイシン・スレッショルド(閾値)」と呼びます)以上のタンパク質(一般的に1食あたり20g〜40g)を摂取して初めて、MPSのスイッチが「カチッ」とONになり、筋肉の合成が活発に始まります。
C)「夜のドカ食い」が非効率な理由
ここで先程の食事例を思い出してください。
- 朝:トースト(タンパク質5g) → スイッチONにならず(閾値以下)
- 昼:ラーメン(タンパク質15g) → スイッチONにならず(閾値以下)
- 夜:ステーキ(タンパク質80g) → スイッチONになる
このパターンでは、1日のうち「夜」しか筋肉の合成スイッチが押されていません。非常にもったいない状態です。
さらに、MPSのスイッチは一度ONになると、約3〜5時間持続しますが、その後はアミノ酸があっても反応が鈍くなる「不応期(refractory period)」に入ります。また、一度の食事で筋肉の合成に使えるアミノ酸の量には上限(いわゆる"muscle-full"の状態)があり、80gを一度に摂っても、その多くは筋肉の材料ではなく、エネルギーとして消費されたり、体脂肪になるリスクもあります。
つまり、「夜に80g」摂るよりも、「朝30g・昼30g・夜30g(+間食30g)」と、3〜5時間おきに均等に分けて摂取するほうが、1日を通してMPSのスイッチを何度もONにでき、筋肉の成長を最大化できるのです。
これが、「朝、昼、晩のすべてでタンパク質をとるようにしましょう」という主張の、強力な科学的根拠です。
2. 実践的テクニック「追いタンパク」
理論はわかりました。では、どう実践すればよいのでしょうか。元の記事の例を見てみましょう。
「いままで朝食がトーストだけだったとしたら、そこに卵を1つ乗せるだけでもタンパク質がとれる。」
「今まで昼食がラーメンや蕎麦、ハンバーガーだったとしたら、これからは焼き魚定食などを選ぶ。」
これは素晴らしい第一歩です。しかし、これだけでは「1食20〜40g」の閾値に届かない可能性があります。
- トースト(5g) + 卵1個(6g) = 合計 11g (閾値以下)
- 焼き魚定食の魚が小さい(タンパク質15g) (閾値以下)
そこで、元の記事が提唱する「追いがつお」ならぬ「追いタンパク」という概念が非常に重要になります。これは、メインの食事を選びつつ、タンパク質量が足りないな、と思ったら「もう一品」追加する技術です。
- トースト(5g) + 卵1個(6g) → これに「ギリシャヨーグルト(10g)」を**追いタンパク** → 合計 21g(スイッチON!)
- 焼き魚(15g) + ご飯 → これに「納豆(7g)」と「冷奴(6g)」を**追いタンパク** → 合計 28g(スイッチON!)
このように、メインの食事に「ちょい足し」することで、すべての食事を「アナボリック(合成的)」な食事に変えることができます。
3. コンビニは「追いタンパク」の宝庫だ
一見、「追いタンパク」は自炊や定食屋でないとハードルが高そうですが、元の記事が指摘するように、現代のトレーニーには「コンビニエンスストア」という最強の味方がいます。
コンビニは、まさに「追いタンパク」の宝庫。高タンパク・低脂質な食材が、1食分ずつパッケージされて並んでいます。これらを活用しない手はありません。
忙しい日の「追いタンパク」最強リストを紹介します。
カテゴリ①:王道(チキン・卵)
- サラダチキン(タンパク質 20-25g):
もはや説明不要の王様。「おにぎりだけ」「パスタだけ」のランチに、これを1つ加えるだけで完璧なPFCバランスに変わります。 - 味付けゆで卵 / 温泉卵(タンパク質 6-7g):
最も安価で手軽な「追いタンパク」。ラーメンや丼もの、蕎麦にトッピングするだけでMPSスイッチを押す助けになります。 - サラダチキンバー / スティック(タンパク質 10-15g):
片手で食べられる手軽さが魅力。移動中の「追いタンパク」に最適。
カテゴリ②:魚介系(DHA/EPAも摂れる)
- サバの水煮缶 / 醤油煮缶(タンパク質 15-20g):
最強の「追いタンパク」の一つ。良質な脂質であるDHA・EPAも同時に摂取できます。白米との相性も抜群です。 - カニカマ / ちくわ(タンパク質 5-10g):
低脂質で安価。「もう一声」欲しい時の調整役として非常に優秀です。 - スモークサーモン / イカの燻製(タンパク質 10-15g):
サラダのトッピングや、お酒の「罪悪感のない」おつまみとして。
カテゴリ③:乳製品・大豆製品
- ギリシャヨーグルト(オイコス等)(タンパク質 10-12g):
朝食の「追いタンパク」に最適。トーストやグラノーラに加えるだけで、一食分のタンパク質がほぼ満たせます。 - プロテインドリンク(ザバス等)(タンパク質 15-25g):
「飲む」追いタンパク。食事と一緒、あるいは食間でMPSのスイッチを入れ続けるために活用できます。 - 豆腐バー(タンパク質 10-15g):
サラダチキンに飽きた時の代替案として急成長中。植物性タンパク質を手軽に摂取できます。 - 納豆(タンパク質 7g) / 冷奴(タンパク質 6g):
定食屋の王道「追いタンパク」は、コンビニでももちろん健在です。
まとめ:タンパク質を「分散」させ、「追加」せよ
筋肉を最も効率よく育てる食事戦略は、驚くほどシンプルです。
- 1日に必要な総タンパク質量(体重×1.6〜2.2g)を計算する。
- その総量を、1日3〜5回の食事(間食含む)で「均等に」なるよう配分する。
- 各食事でタンパク質が「20g」に満たない場合は、コンビニなどを活用し、手軽な食材で「追いタンパク」を実行する。
炭水化物中心の食事をゼロにする必要はありません。そこに「追いタンパク」をするという「足し算」の思考を持つだけで、あなたの食事は「筋肉が育つ食事」に劇的に変わります。
「筋肉食堂DELI」のお弁当は、1食で平均30g〜40g以上のタンパク質が摂取できるように設計されています。つまり、あなたが「追いタンパク」の計算や買い出しに悩むことなく、一食で確実にMPSのスイッチをONにできる「完璧なアナボリック・ミール」です。
日々の食事では「追いタンパク」を意識し、時間がない時やトレーニング前後は「筋肉食堂DELI」を活用する。そのように「食べる筋トレ」を生活に組み込むことが、理想の体への最短ルートとなります。
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