2022.06.27

38 真のトレーニーは毎日自炊している

自炊(ミールプレップ)のためにタッパーに詰められた鶏肉やブロッコリー

真のトレーニーが「自炊(ミールプレップ)」に辿り着く理由。PFC・コスト管理の完全戦略

「食べる筋トレ」を突き詰めていくと、多くの真剣なトレーニーは、ある一つの結論にたどり着きます。それが「自炊」です。

ID 37では「居酒屋」を聖地として紹介しましたが、あれは「外食の中での最善の選択肢」です。しかし、日々の食事の「最適解」は、間違いなく自炊にあります。

なぜなら、自炊こそが、筋肉を育てる上で最も重要な2つの要素、「栄養素の完全なコントロール」と「継続可能なコスト管理」を両立させる、唯一の方法だからです。

タンパク質が豊富なわりに、比較的安価な食材を選び、自分で調理する。一見、面倒に見えるこの行為こそが、理想の体への最短ルートなのです。

この記事では、なぜ自炊が最強なのか、そして、忙しい現代人が「食べる筋トレ」を自炊で実践するための、具体的な食材選び、コスト削減術、ミールプレップ(作り置き)のテクニックまで、徹底的に解説します。

 

1. なぜ自炊か?「PFCのブラックボックス」から脱出せよ

外食やコンビニ食(※ID 32の「追いタンパク」を除く)には、「PFCのブラックボックス」という大きな問題が潜んでいます。

  • 見えない「脂質」:
    「ヘルシーそうな野菜炒め」に、どれだけ大量の油が使われているか、あなたは知りません。「鶏肉の照り焼き」の皮に、どれだけの脂質が含まれているか、正確には分かりません。
  • 見えない「糖質」:
    ヘルシーな「煮物」や「タレ」に、どれだけ大量の砂糖やみりんが使われているか、知る由もありません。
  • 見えない「コスト」:
    レストランのステーキ(タンパク質30g)には、原価の数倍の価格が設定されています。

自炊は、このブラックボックスを「完全な透明化(可視化)」する行為です。
「自分が使う油の量(脂質)」「自分が使う調味料(糖質・塩分)」「自分が使うタンパク質源の原価(コスト)」、その全てを自分の管理下に置くことができます。

リーンバルク(ID 29)の「TDEE + 300kcal」や、減量期(ID 23)の「TDEE - 500kcal」といった緻密なカロリー計算は、自炊なしには、ほぼ達成不可能と言っても過言ではありません。

 

2. 「コスト」の壁を壊す。最強の食材と「まとめ買い」術

自炊の最大のメリットの一つが「コスト削減」です。タンパク質中心の食事はコストがかさみますが、賢い食材選びと「まとめ買い」で、食費は劇的に下がります。

A) コストパフォーマンスの王様:「鶏肉」と「卵」

元の記事が指摘する通り、「鶏肉や卵は牛肉に比べれば安価だが、アミノ酸スコア(タンパク質の品質)は同じ」です。特に「鶏むね肉」と「卵」は、トレーニーにとっての二大巨頭です。

  • 鶏むね肉 (皮なし): 100gあたりタンパク質約22g、脂質約1.5g。圧倒的な「P/F比(タンパク質/脂質比)」を誇ります。
  • 卵: アミノ酸スコア100の完全栄養食。ビタミン、ミネラルも豊富で、1個あたりタンパク質約6g。(詳細はID 40で解説)

B) 業務スーパー・コストコ活用術:「まとめ買い」と「小分け冷凍」

これらの食材を、業務スーパーやコストコなどで「2kgパック」や「20個入り卵」のようにまとめ買いし、正しく冷凍保存することが、食費を抑える鍵です。

  1. 鶏むね肉 (2kg) の下処理(最重要):
    買ってきたパックをそのまま冷凍してはいけません。解凍時にドリップ(旨味と水分)が流れ出て、パサパサの不味い肉になります。
    • ① 買ってきたら、まず1食分(例:200g)ずつに切り分ける。
    • ②(推奨)塩麹、または酒・塩・砂糖少々を揉み込む(ブライン液)。または、あらかじめタレ(焼肉のタレ、生姜醤油など)に漬け込む。
    • ③ これをジップロックやアイラップに「平たく」入れ、空気を抜いて冷凍する。
    この一手間(特に②の漬け込み)が、解凍時のパサつきを防ぎ、解凍して「焼くだけ」の状態にするため、自炊の継続率を爆発的に高めます。
  2. 卵: 冷蔵保存で十分です。
  3. その他の「買い」食材:
    • 冷凍ブロッコリー / ほうれん草 / ミックスベジタブル: 野菜(ビタミン・食物繊維)のコストと手間をゼロにします。
    • 冷凍サバ / サーモン(切り身): 良質な脂質(オメガ3)とタンパク質を安価にストックできます。
    • オートミール: 最強の低GI炭水化物。
    • ツナ缶 / サバ缶: 箱買いしておけば、最強の「追いタンパク」(ID 32)になります。

 

3. 「時間」の壁を壊す。「ミールプレップ(作り置き)」術

自炊が続かない最大の理由は「時間がない(面倒)」ことです。これを解決するのが「ミールプレップ(作り置き)」です。

元の記事にあるように、「3日分くらいの食事を一度につくってストックしておく」。これが、忙しいトレーニーの常識です。週末の2時間を「仕込み」に使うことで、平日の「何を食べようか」と悩む時間と「調理する」時間をゼロにします。

実践!3日分のミールプレップ(例)

① 炭水化物(炊飯器で一発)

  • 玄米(または白米+もち麦)を3日分(例:5合)炊き、1食分(例:150g)ずつラップに包み、冷蔵または冷凍する。

② タンパク質(オーブン・フライパンで一発)

  • 冷凍しておいた鶏むね肉(下処理済み)を、オーブンの天板に並べ、一気に焼き上げる(またはフライパンで複数枚同時に焼く)。
  • または、大きな鍋で「サラダチキン(鶏ハム)」をまとめて茹でる。
  • 卵を10個まとめて「ゆで卵」にする。

③ 野菜(茹でるだけ)

  • ブロッコリーを丸ごと茹でる。ほうれん草や小松菜をおひたしにする。

これら(玄米、焼き鶏、茹でブロッコリー、ゆで卵)を、タッパーに1食分ずつ詰めて冷蔵庫に並べておきます。これが「職場の環境が許せば、持参すると、外食をするよりも安くつく」と元の記事が言う「タッパー弁当」の正体です。

これにより、平日のあなたは「冷蔵庫からタッパーを取り出し、レンジで温めるだけ」で、PFCバランスが完璧に計算された、安価で理想的な「筋肉メシ」を食べることができるのです。

 

4. 「スキル」の壁を壊す。「簡単なことから」始めよ

自炊を始めるにあたって大事なのは、運動と同じで、「いきなり難しいことから始めない」ことです。「ミールプレップ」はレベル3です。

自炊をまったくしたことがないという人は、まず「レベル1」から始めてください。

  • レベル1:非・調理(アセンブル)
    「スーパーで刺身の盛り合わせを買ってくる」「コンビニでサラダチキン、カット野菜、納豆、豆腐を買ってきて、一つの皿に盛る」。
    これでも、油も砂糖も使わず、PFCを管理しているため、立派な「自炊(自ら食事を賄う)」です。
  • レベル2:単一調理(焼く・茹でる)
    「卵を焼く(スクランブルエッグ)」「ブロッコリーを茹でる」「冷凍の魚を焼く」「買ってきた肉を焼く」。
    味付けは「塩コショウ」か「市販のタレ(糖質に注意)」で十分です。
  • レベル3:ミールプレップ(作り置き)
    上記で解説した、週末の「まとめ買い」「まとめ調理」です。

いきなりレベル3を目指して挫折するのではなく、まずはレベル1やレベル2を日常化し、「自分で食事を管理する」習慣をつけることが何よりも重要です。

 

まとめ:自炊は「トレーニング」の一部である

ジムでのトレーニングが「筋肉に刺激を入れる作業」なら、自炊(食事管理)は「筋肉の材料を調達・加工する作業」です。両方やって、初めて「筋トレ」は完結します。

自炊は面倒な「家事」ではありません。それはあなたの体脂肪をコントロールし、筋肉の成長をデザインする、最も知的でクリエイティブな「トレーニング」の一部なのです。

「筋肉食堂DELI」は、まさにこの「レベル3:ミールプレップ」を、プロの料理人と管理栄養士があなたの代わりに実行し、冷凍で届けるサービスです。「自炊する時間すらない」「でもPFCは妥協したくない」というトレーニーにとって、DELIの食事は、自炊(タッパー弁当)と全く同じ思想で作られた、最強のソリューションと言えるでしょう。

筋肉食堂の食事内容を見てみる